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札幌大球の特徴・歴史をご紹介します。

札幌大球とは

名称:キャベツ「札幌大球」

(英名cabbage Sapporo-Taikyuu)
形状:晩生種で球の肥大はよく、
1球あたりの重量は8~20㎏、球径が40~50㎝程度と大型。球の形状は扁円形を呈し、多収性。

札幌大球の歴史

北海道では、明治初期に開拓使と一緒にいろいろな作物が導入され、
その中でキャベツは1871年、七飯開墾場と札幌官園で試作されたのが最初です。
その後年月を重ね、キャベツ栽培が広がっていきました。

種子の輸入、自家採種、品種改良が活発になり、
「コペンハーゲンマーケット」「バンダーゴー」「サクセッション」「アーリーサマー」などが普及する中、
大きくて貯蔵性がよい「札幌大球」が選抜され、土着順化していったとされます。

冬期間は野菜が不足するので、貯蔵や漬物に適したキャベツということで重宝され、
昭和に入ると生産が活発になりました。1935年ころには1,000haほど栽培されていたとされています。


しかし、1個重量が大きく、作業負担が大きく、農家の高齢化もあり、断念する人が多かったのです。
平成に入り、1993年には推定で15ha。以降漸減していきます。

2023年の段階で、札幌では2戸の生産するにとどまり、まさに消滅の危機に瀕しています。

ユーザーさんへ出荷します。.jpg

食材としての歴史

北海道における農耕期間は4月下旬から10月下旬くらいまでの半年間です。
このため、11月から半年間は農作物の生産ができないのです(ハウス栽培などは除)。
冬期間の食料、栄養を確保するためには加工・貯蔵に頼らざるを得ませんでした。

貯蔵特性として札幌大球の葉数は通常品種と同様の70枚前後(珠葉数は50枚程度)であり、
その分一枚一枚の葉厚は肉厚で繊維質もしっかりしています。


発酵漬物の素材としても好適で保存、食感ともに優れており、にしん漬けや飯寿司など
北海道ならではのお魚と野菜を組み合わせた漬物原料として欠かせない存在でした。

また、旧くは冬場の貴重なビタミン源として(外葉が凍結しても内部の可食部が確保されている)愛用され、遠洋漁業の漁船にも積み込まれるなど、本道の食生活を支える貴重な存在でした。

そして、札幌大球は季節を知る道しるべとして、風物詩的な側面もあります。
収穫期が10月末から11月上旬で、この時期になると市場や八百屋に札幌大球特設コーナーができ、
山積みされていたと記憶されている方も多いのではないでしょうか。

以上のことから、札幌大球は明治生まれ札幌選抜の伝統(世界で北海道だけという遺伝子的希少性)を誇り、古より現代につながる食文化、を形成してきた存在といえます。

温故知新の概念の下、札幌の宝物として残していかなければならないでしょう。

壮観です。10月の圃場より。-1.jpg

復活への道のり

2014年、JAさっぽろが試験的に札幌大球の栽培を札幌市清田区で復活させました。
これに呼応する形で、2015年、札幌大球応援隊が結成されました。
作ったはいいが、誰が使うのか。。。いわゆる出口を探したのです。

札幌市中央卸売市場でヒアリングしてみますと、札幌大球は家庭用だけで、
業務用には使われていないよ!というものでした。

キャベツを使う有力な業務用の産業って何があるんだろう?

お漬物の北彩庵(北日本フード関連会社)、お好み焼の風月にこのプロジェクトの話を持って行ったところ、快諾。


これで、札幌の畑と札幌の業者さんがつながり、消費者の食卓と一本の線になったわけです。
フレームは出来上がりました。

みんなで支えあうシステムを作らなければなりません。
それが札幌伝統野菜「札幌大球」オーナー制度です。

昔は漬物をつけたものですが、現代の生活では漬物は買うものになっています。
北彩庵にその部分を担っていただきました。
オーナーになっていただいた方には「札幌大球にしん漬け」となって初冬に送られるしくみです。
毎年楽しみにされている方も多く、少しずつ根付いてきた手ごたえを感じています。

割ったところです。.jpg
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